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子宮内膜症
癥瘕とは
中医婦人科では、子宮とその周辺の欠陥・リンパ管、子宮の支持組織等に発生し、痛感、脹感、満感を伴い、ひどくなると出血する結塊を「癥瘕」(ちょうか)と呼びます。
西洋医学でいう子宮内膜症以外に、子宮筋腫、骨盤内炎症性腫瘤、卵巣嚢腫などが含まれます。
癥と瘕の違い
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癥…結塊が固く、部位は固定して移動しない。抑えても分散せず、疼痛部位も一定している。
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瘕…結塊は無形で、凝集したり分散したりする。抑えると移動し、疼痛も一定ではない。
ただ癥と瘕の両者の間には緊密な関係があり、臨床上では明確に区別することができないため併称して癥瘕と呼びます。
中医学における婦人科疾患の考え方
癥瘕の形成は正気虚弱、気血失調との関連性が大きく、気滞瘀血・痰湿内阻などの要因が結びついて形成されることが多いです。
1.気滞
七情内傷により肝気鬱結をきたし、血行が障害されて訪中に蓄積すると癥瘕を生じます。
2.血瘀
月経期や産後など、血室が開いている時期に風寒が虚に乗じて侵入すると、気血が凝滞しやすくなります。
また余血が出尽くされないうちから房事(性行為)を行うと、外邪と血が結びついて瘀血となります。
また憂思怒の過度な感情、気血不足などによっても瘀血ができます。
これらの原因により、瘀血が次第に蓄積されていくと癥が形成されてしまいます。
『校注婦に良法』では「女性で腹中に瘀血があるものは、月経が閉じて蓄積したり、産後の余血が尽きなかったり、風寒滞瘀が長引いて消えなかったりしたことが原因で積聚・癥瘕を生じたものである」と表記しています。
3.痰湿
脾腎不足、陽気虚弱のために日の運化機能が失調して、水湿が変化できなくなって聚まると痰が出来ます。
痰が胞脈を阻滞し、血気と結びついて蓄積すると癥となり、また湿熱と瘀血が結びつくと癥瘕を形成します。